お勧めレインウェアブランドと、使用技術の特徴

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今回は、ウェアの基本的な選び方や生地の種類の知識を踏まえた上で、2019年現在でおすすめのレインウェアをご紹介します。

レインウェアの選び方のポイント、生地の種類ごとの特徴については、以下の記事をご覧ください。

■レインウェアの魅力と基本的な選び方
https://outdoor-hacker.com/fashion/rain-wear-select-point/

■知っておくとレインウェア選びが楽しくなる「防水加工生地」について
https://outdoor-hacker.com/fashion/rain-wear-waterproof-material/

 

防水生地の王様「GORE-TEX」

GORE-TEXはまさに防水生地の王様といっても過言ではありません。

GORE-TEXの開発は1969年にまで遡ります。

それまでの防水生地といえば、ゴム引きの防水生地やワックスドキャンバスなどの生地が主流でしたが、ワックスドキャンバスは防水性が低いこと、ゴム引きコートは防水性こそ高いが、中に湿気が篭り汗冷えを引き起こしてしまうこと、そして大きさと重量が問題となっていました。

そこで出てきたのが「防水透湿素材」という、まさに夢のような生地であるGORE-TEXです

現在では、防水性を重視する従来の「GORE-TEXシリーズ」と、防水性は低いが快適性を重視する「GORE-TEX Infiniumシリーズ」に分かれています。

GORE-TEXシリーズ

(画像出典:GORE-TEXホームページ

 

このシリーズは、所謂スタンダードなザ・GORE-TEX製品で、防水性が非常に高く、尚且つ透湿性も確保されているという製品になります。この生地が採用されているジャケットなどには黒いタグが付けられているので一目で判断することができます。

このシリーズの中にも様々な製品があり、登山やトレッキングなどの運動に最適なGORE-TEX Activeや、トレイルランニングやサイクリングなどの激しい運動に最適なGORE-TEX SHAKEDRYなどがあります。

この二つの違いは、前者はより防水性が必要とされている登山などのアクティビティに向けて、防水性を第一に考えていること、後者はより透湿性が重視されるトレイルランニングなどに向けて、防水性を少し落として透湿性をより多く確保している点です。

これらに加えて登山靴やグローブなどに用いられる生地などもあります。

 

GORE-TEXの生地の良い点は、何と言っても大雨に耐えられる高い防水性と快適性です。キャンプなどをしていて突然雨が降ってきても、フードをサッと被るだけで中は全くといっていいほど濡れないと思います。傘と違って両手が空くので、設営や撤収作業なども簡単に行えます。

一方、デメリットとしては、Activeと言えど、夏の山で着るのは少し暑いと感じる人が多いと思います。特に、高温多湿の日本では、発汗の量に透湿性が間に合わない状況が多く、中でも代謝のいい体質の人は苦労すると思います。

また、耐久性を持たせるために伸縮性があまりないのも、一つのデメリットで、体にぴったりとフィットするようなサイズ感の場合、動きが制限されてしまう場合もあります。また、デザインがかっこいいから晴れている日にも着たいという人も多いですが、晴れの日に着るとやはり湿気が篭ってしまうことが多い生地でもあります。

GORE-TEX Infiniumシリーズ

(画像出典:GORE-TEXホームページ

 

防水透湿素材として知られているGORE-TEXから、2018年に新しく登場したブランドがGORE-TEX Infiniumです。このシリーズは、防水性を謳わないブランドです。この生地が採用されている製品には白いタグが付いています。

このシリーズの中には、GORE-TEX Windstopperなどの製品があり、撥水性こそあるもののオリジナルのように大雨に耐えられるような防水性はありません

その代わり、生地がしなやかで、肌触りも良く、尚且つ防風性に優れているという特徴があります。そのため、従来のGORE-TEX製品が持っていた雨の日以外に着にくい、という一つのデメリットをうまく解消しています。

筆者も個人的にGORE-TEX Windstopperが用いられた製品をもっていますが、サイクリングやランニングをしても中が蒸れず、尚且つ走っているときに受ける風は防いでくれるので、体を冷やすことなく運動に集中できます

一方で、デメリットはやはり強い雨には耐えられないということでしょう。

とはいえ、この製品も一応撥水加工などで防水性があるので、通常の生活で遭遇する雨には十分耐えられると思います。もし、大雨の中でバイクなどに乗る可能性があるという人は、スタンダードの方にしておいた方が無難です。

 

防水生地の女王 Polartec「Neoshell」

(画像出典:Polartecホームページ

 

現在、個人的に一番注目しているのが、Polartec社の「Neoshell」という製品です。PolartecもGORE-TEXと同じくアウトドア用の生地を作っているところで、フリース生地などがとても有名です。

 

GORE-TEXが、その強さと防水性で体をがっしりと守ってくれる王様という感じならば、Neoshellは柔軟で優しく守ってくれる女王という感じがします。NeoshellもGORE-TEXと同様、Neoshellメンブレンをサンドイッチしている生地です。

Neoshellの特徴としては、防水性を耐水圧10,000mmほどまで落とすことによって、透湿性をかなり高めているという点にあります。

一般的にGORE-TEXの耐水圧は、30,000mmから50,000mmなので、防水性は比較するとかなり低い数値となっています。しかし、10,000mmという数字は大雨にも耐えられる最低限の数値となっているので、防水性の面で大きく劣るということはありません。

耐水圧10,000mmは雨が入ってこない十分な数値なのだから、防水性は必要最低限に押さえておいて、代わりに着心地を追及したのがNeoshellと言えます。

 

このNeoshellが一気に有名になったのが、Teton BrosのTsurugi Jacketに採用されてからです。

(画像出典:Teton Bros.ホームページ

 

このジャケットは特徴的なデザインと、Neoshellによる軽い着心地によって、多くの人気を集めました。

よく汗をかく体質の方や激しい運動をする方には、非常にお勧めの生地となっています。

 

次世代の高機能ファブリック The North Face「Futurelight」

(画像出典:Goldwin公式ホームページ

 

次に紹介するのが、最も有名なアウトドアブランドといっても過言ではない「The North Face」が2年の歳月をかけて開発した新ファブリックである「Futurelight」です。これは、2019年の10月1日に世界同時発売されたばかりの新製品です。

この素材は、Neoshellと同じようなコンセプトで開発された製品で、防水性こそGORE-TEXに劣るものの、通気性を確保して行動中のウェア内の環境をより快適にすることを目標としています。

この通気性を確保するために、The North Faceはナノスピニング技術を開発しました。

これは、ナノレベルの太さのポリウレタンを吹きつけてメンブレンを作ります。この時、糸と糸の間の無数の隙間が従来のレインウェアよりも優れた通気性をもたらします。もちろん、この隙間はGORE-TEXのメンブレンのように水の分子よりも小さいため、水は通しません。

また、生地自体がしなやかでストレッチ性があるため、体の動きの邪魔をすることもありません。

 

2019年11月現在、この「Futurelight」を使った製品は、登山用の「SUMMIT」シリーズ、バックカントリーなどに使用する「STEEP」シリーズ、それとトレイルランニングなどの激しい運動に最適な「FLIGHT」シリーズの3つで展開されています。

(画像出典:The North Faceホームページ

 

The North Faceの直売店ではすでに試着が可能で、筆者もドイツの直売店で「FLIGHTシリーズ」を試着しましたが、それまでのレインウェアとは違い、ハードシェルなのにソフトシェルのような新しい着心地でした。ゴム引きのコートから始まり、GORE-TEXが登場し、その後に訪れる新世代の代表となるような素材だと思います。

 

Patagoniaのレインウェアシリーズ

Patagoniaは、現在独自開発のH2NoとGORE-TEX、そして撥水加工のDWRの3つを使用してレインウェアを開発しています。その中でも裏地がない2層、裏地に吹きつけでコーティングしてある2.5層、そして裏地ありの3層と分かれており、幅広いバリエーションから選べるのが魅力です。

H2Noを使った有名なジャケットといえばクラウドリッジジャケット。

(画像出典:Patagoniaホームページ

 

3層構造のH2Noと伸縮性のある着心地、ヘルメットを付けたときにも被れるようなフードの構造で、登山はもちろん、細身なシルエットとシンプルなカラーリングがとてもおしゃれで街で着ていても違和感がないデザインになっています。

そのほかにも、DWR加工がされているコットン生地をつかったものや、より本格的な用途のためにGORE-TEXを使用したウェアなどもあります。

このように、Patagoniaは本格的な用途から街でも着れる豊富なラインナップと、シンプルでおしゃれなデザインが特徴です。

 

従来のものより耐久性の高い素材 Finetrack「Everbreath」

(画像出典:Finetrackホームページ

 

次に紹介するのが、国産アウトドアブランドのFinetrackが開発し、販売しているEverbreathです。

Finetrackは、日本の気候に合わせたウェアを販売しているメーカーで、特にベースレイヤーは多くの一流アスリートに愛用されています。

そんなFinetrackが独自開発しているメンブレンをつかったシェルが、Everbreathシリーズです。

Everbreathの特徴は、日本の多湿な気候に合わせた高い透湿性、そして十分な防水性、さらに動きやすさを追及したストレッチ性です。まさに日本の山のために作られた素材、それがEverbreathです。

 

さらに特徴的なのは、メンブレンがポリカーボネートで作られているということです。

多くの一般的な防水透湿素材は、ポリウレタン樹脂で作られています。ポリカーボネートはポリウレタンに比べて耐久性が高いため、より長く機能性が維持されます。

シルエットも日本人の体形に合わせた細身。海外製品にありがちな少しダボっとした感じで、風でバタバタするということもなく、自転車やバイクに乗るときなどにもおすすめです。

 

高い透湿性と動きやすさを兼ね備えた Millet「Typhon 50000」

(画像出典:Millet公式ホームページ

 

次に紹介するのが、MilletのTyphon 50000です。この生地は、あまり有名ではないのですが、個人的におすすめなので紹介します。

Typhon50000は、Neoshellなどの生地と同じく透湿性をより重視してつくられました。また、海外のサイトにはTyphon50000がないので、おそらく日本の気候に合わせて作られているのだと思います。

 

この生地の特徴は、透湿性が50,000g/24hと高い数値を出していること、そして耐水圧が20,000mmと必要十分なことです。

さらに、この生地は裏地に起毛トリコットを採用しているのも特徴です。これは着てみると非常に良い肌触りで、レインウェア特有の肌に擦れる感じがしません。そして、伸縮性もあるので非常に快適に運動や日常生活を送ることができます。

ウェア自体のシルエットも細身に作ってあるものが多く、今まで多くのレインウェアを着てきましたが、この生地を使ったウェアが一番着心地がよかったように思います。

 

高耐久とクラシックな質感が魅力 Fjallraven「G-1000」

次に紹介するのは、これまでとは違って少しクラシックなものです。それがFjallravenのG-1000という素材です

Fjallravenは現在、全世界でスタンダードとなったKankenリュックサックが有名ですが、れっきとしたアウトドアギアを販売しているメーカーで、まだアウトドア製品が黎明期だった時代に高性能なギアを探検家たちに提供していました。そんなFjallravenが、1960年代初期に開発したのが「G-1000」です。

 

この素材は、ポリエステルを65%、コットンを35%の割合で織り込んでいます。そこにグリーンランドワックスというパラフィンと蜜蝋を配合したものを塗り込むことでコーティングをし、撥水性と防風性、さらに耐久性を上げます

この素材の名前の由来は1966年に行われたグリーンランド遠征、そして達成された「グリーンランド1000キロ走破」から来ており、グリーンランド遠征に赴いた隊員たちを厳しい気候から守った当時の高機能素材でした。

現在でも、当時に使われていた生地やワックスを正統に進化させた「G-1000 Original」、より軽量化した「G-1000 Lite」、温暖な気候に合わせて風通しを良くした「G-1000 Air」、狩猟のために音を出さない仕様になっている「G-1000 Silent」、そしてバッグやウェアの補強部分に使われているタフな素材「G-1000 Heavy Duty」の5つのシリーズを展開しています。

G-1000の魅力は何と言っても耐久性、十分な撥水性、そしてクラシカルな雰囲気です。

(画像出典:Fjallraven公式ホームページ

 

この素材はコットンとポリエステルの混紡素材なので、火の粉に当たってしまっても穴が開きません。したがって、キャンプにも最適な素材となっています。

加えて、G-1000に使用されているグリーンランドワックスは数回洗濯することで完全に落ち、撥水性は失いますが、その代わり通気性がよくなります。したがって、冬はグリーンランドワックスを塗り込み撥水性と防水性を上げ、暖かくなってきた春先はそのワックスをすべて落とし、普段着として活用することもできます。

グリーンランドワックスの塗布は、塗ってドライヤーで温めて染み込ませるという工程で比較的簡単なため、気軽に手入れができるのも魅力です。

筆者も一着持っており、3年前から着ていますが、未だ目立ったほつれや生地の破れもなく、撥水性も新しくワックスを塗ることで蘇るので大変重宝しています。

 

使用目的に合わせて納得できるウェア選びを!

今回ご紹介したように、それぞれのモデル、各メーカーが様々な工夫を凝らしてウェアを開発しています。例えば今回あまり紹介しなかったトレイルランニングやサイクリングなど、トレッキングや登山などに比べて多く汗をかくスポーツ用なら透湿性の高いレインウェアを、焚火をガンガンするようなキャンプや雰囲気を楽しみたい軽いトレッキングなどには燃えにくい素材が最適です。

ぜひご自身の使用用途に合わせて最適なウェア選びをしてみてください。

 

(アイキャッチ画像出典:GORE-TEXホームページ

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