海で泳いでいるときに「ビリビリ」「チクチク」「なにかに刺された!」そんな経験はありませんでしたか?だけど「何に触ったか分からない…」そんなこともあるかと思います。そこで今回は海で遭遇する、危険生物についてお伝えします。海は楽しい思い出を作る絶好の場ですが、危険な生物もいるということを詳しくご紹介していきます。
クラゲ
泳いでいるときに、クラゲに刺されたことがあるという人も多いでしょう。ただ、クラゲと言っても種類はたくさんあります。そこで日本の海に出没する危険な数種類をお伝えします。刺されたときに“どんな特徴だったのか”を覚えていると、病院へ行ったときお医者さんに伝えると、処置がスムーズになるでしょう。
ハブクラゲ
ハブクラゲというのは、沖縄の海に生息しています。このハブクラゲ、実は猛毒です。クラゲの傘は約10~15cm、触手は長いもので1.5mにもなります。
ハブクラゲの毒は、人間が触ってしまい刺されてしまうととにかく激痛を感じ、みみずばれや水疱、細胞壊死など引き起こす可能性が高いのです。また最悪の場合には、呼吸困難、心停止など死に至ってしまうこともあるくらい、強力な毒を持っているのです。
沖縄にあるほとんどの海水浴場には、ハブクラゲが侵入できないようにネットを張っているのですが、まれにネットを張っていない場所もあります。そのような海水浴場で泳ぐときには、必ず注意しましょう。
カツオノエボシ
「電気クラゲ」という言葉聞いたことはありませんか?実はその正体は、「カツオノエボシ」というクラゲなんです。日本では本州の太平洋側で見られます。カツオノエボシは鮮やかなブルーが特徴で直径10cmほどの傘。他のクラゲと違い、泳ぐことをしないので海面にふわふわ浮いて漂流しています。一見すると、ビニール袋が浮いているように見えるので「ビニール袋か…」と勘違いし、近づいてしまうことがあるのです。
このカツオノエボシに刺されてしまうと激痛が走って痛みはもちろん、炎症が長時間続くことが考えられます。また、カツオノエボシに刺されるのが2度目の人は、アナフィラキシーショックを引き起こす可能性があるので、とても危険です。
カツオノエボシは死んでいても毒針を発射するので、海岸に打ち上げられたカツオノエボシを触ることも危険です。とても綺麗で透き通ったブルーをしているので、子どもは興味本位で触ってしまいがちです。絶対に触らないように注意しましょう。
アンドンクラゲ
アンドンクラゲという種類、聞いたことがあまりない人が多いですがこれにも注意が必要です。傘の直径は2~3cmととても小さく、アンドンのような形をしていること、また触手が20cmと長いのが特徴です。また、このクラゲは小さくて透明なので、海中で見つけることはとても難しいと言われています。
夏の時期に多く見られるアンドンクラゲは、お盆以降特によく見られます。主に関西以南から北海道まで幅広く見られるので、よく「クラゲに刺された!」という人は、この種類に刺さた可能性が高いと考えられます。
アンドンクラゲに刺されると、ビリッと一瞬激痛が走りますが、大事に至る症状になることは少ないようです。しかしミミズ腫れが数週間も続くなど、「痛いし痒い」という厄介なことが続いてしまうのです。
アカクラゲ
アカクラゲとは、傘の直径が10~15cmくらいと比較的大きく、触手は長いもので2mにもなるクラゲです。この触手はとてもちぎれやすく、そのちぎれた触手が乾燥し、空中を舞います。この触手を吸い込んでしまうと、くしゃみがでることから別名「ハクションクラゲ」ともいわれているのです。
アカクラゲは14度以下の水温を好むので、夏以外の季節に多く見られます。海水浴シーズンではありませんが、サーフィンや釣りをする人がよく被害に合いやすいのです。また日本の近海にはどこにでもいるアカクラゲですが、特に太平洋側に多いのが特徴。
刺されたときはヤケドに似た激痛が走り、ミミズ腫れはもちろん、水疱、ひどい場合には呼吸困難になることもあります。水温が下がっているときに水辺で遊ぶときなど、注意が必要ですよ。
ミズクラゲ
よく水族館にも展示されている、見た目が可愛らしいクラゲが「ミズクラゲ」です。傘の直径は15~30cmと比較的大きく、傘の中央に四葉のクローバーのような模様があります。別名「ヨツメクラゲ」ともいわれており、海水浴場でよく見かけるクラゲです。
ミズクラゲは他のクラゲと比べると、毒が弱く刺されたことすら気付かないこともあります。しかし肌の弱い人などはミミズ腫れなど引き起こすことがあるので注意が必要です。またミズクラゲは日本中のどこの海でも見られるので、「小さいころに海岸に打ち上げられたミズクラゲを棒でつついて遊んだ」という人もいるのではないでしょうか。
毒は弱いですが、刺されるとミミズ腫れになることもありますので、見つけたときは近寄らないようにしましょう。
キロネックス
また、地球温暖化が原因で日本近海に出没する可能性のある「キロネックス」。このキロネックスは別名「殺人クラゲ」といわれていて、世界でもっとも危険とされているクラゲです。刺されると1分で死に至るともいわれています。
それほど最強な毒を持っているのですが、見た目はとても殺人クラゲと程遠い、透明で綺麗な見た目をしています。また傘の直径は40~50cm、触手は最長4.5mにもなるそう。大人の身長を超えるほど大きいクラゲなんですよ。
かなりの犠牲者を出しているキロネックス。刺されるとその痛みにショック死することもあるのだとか。温暖化が原因で日本でもみられるようになうと、安心して海水浴が楽しめなくなってしまいますね。
ニンギョウヒドラ
「海水浴を楽しんでいたら、チクチクとしびれが走った。けれど近くにはクラゲらしきものもいない」そういうときありませんでしたか?最近私もこのニンギョウヒドラに刺されました。
本州北部から北海道地方の岩場でよく見られるそうで、エラコの棲管に共生しているクラゲの一種です。北海道ではよく「エラコに舐められた」といわれているのですが、「ニンギョウヒドラに刺された」というのが正確です。
刺されたときはビリビリっと痛みが走り、長時間しびれと痛みが続きます。次の日になると、水ぶくれになりその水ぶくれがとても大きくなっていくのです。日常生活をしているときに、ふとした衝撃で水ぶくれがやぶけると、そのあとには激しいかゆみに襲われました。
気が狂いそうなほどかゆくて、寝るに寝られず睡眠不足の日々が続きました。(※個人差があると思います)
このニンギョウヒドラは、パッと見どこにいるか分からないので、とても厄介です。しかしよくみるとイソギンチャクのような形をしているので、泳いでいるときにイソギンチャクみたいな生物を発見したら、とりあえず近寄らず触らないようにしましょう。
ヒョウモンダコ
ヒョウモンダコは模様がヒョウのようなことから、ヒョウモンダコという名前がついています。体長10cmほどの小さなタコで、一見すると可愛らしくも見えますが、見かけた際は注意が必要です。
ヒョウモンダコは比較的暖かい海に分布しています。小笠原諸島などで見かけられていましたが、近年では東京湾でも発見されていますし、日本海側の海でも見つけられています。温暖化によって海水の温度が上がっていることが原因として考えられていますよ。
ヒョウモンダコは強力な毒を持っていて、ふぐの毒と同じ「テトロドトキシン」という毒がヒョウモンダコの唾液の中に含まれているのです。毒性の強さはどれくらいなのかというと、青酸カリの850倍から1000倍ともいわれていて、人間の致死量1~2gを大きく上回っています。また、「ハパロトキシン」という毒も持っていて、神経をマヒさせる神経毒。噛まれてしまうと、呼吸ができなくなって死亡してしまう可能性がある危険なタコなんですよ。
まだ日本ではヒョウモンダコに噛まれて死亡した例はありませんが、オーストラリアでは死亡例があります。ヒョウモンダコは見た目は小さく、可愛いですが危険なタコなので、子どもが興味本位で触ったりしないよう、注意してくださいね。
ハオコゼ
ハオコゼはカサゴ目ハオコゼ科に属する海水魚の1種で、体長は約10cmほどの小さな魚です。背びれにはトゲがあり、その数は14~15本。2~3本目のトゲが長いのが特徴です。また、体色は個体差でかなり異なりますが、灰色や赤色、褐色を基調に、茶褐色や暗褐色の斑点があります。
日本ではどこに生息しているのかというと、青森県から九州南部の日本海側と太平洋側の沿岸部に分布しています。
ハオコゼの背びれ・胸びれ・尻びれには毒腺がついていて、刺されると毒液が注入されます。刺されてしまうと、患部が腫れて痺れや痛みを感じたり、ひどい場合には吐き気や嘔吐、呼吸困難になる可能性が考えられます。
釣りをしているときにハオコゼを釣ってしまい、誤って刺されてしまうことがあるようです。釣れてしまったときは素手で触ることが絶対にやめて、メゴチバサミ等を使うようにしましょう。
アカエイ
海で遊んでいるときにあまり出会うことが少ない「アカエイ」ですが、水温が上昇し始める5月頃から海岸に近づいてくるのです。座布団のような形をしていて、背面には短いトゲと1~2本の長いトゲがあります。この長いトゲには毒腺があり、刺されてしまうと激痛が走り、長時間痛みが続きます。アレルギー体質の人は、アナフィラキシーショックを引き起こす可能性があり、とても危険なんですよ。
アカエイは自ら人間に攻撃してくることはありません。ただ、浅瀬の砂に潜って身をひそめることがありますので、誤って踏んで刺されてしまう可能性があります。またトゲには返しがついているので、刺されてしまうとトゲが抜きずらくなっています。
潮干狩りなど親子で楽しんでいるときに、誤って踏んだりする可能性もありますので、なるべく水深のある場所は歩かないようにするのも、アカエイに刺されない方法の一つです。
オニヒトデ
オニヒトデは、主に南西諸島に分布していますが、紀伊半島や奄美でも生息が確認されています。体長は30cmから大きいものだと60cmにもなるオニヒトデがいるようです。10本から20本の腕を持っていて、身体の表面には多くのトゲがあります。
このトゲに毒腺があり、刺されると(※個人差があります)パンパンに張れてしまう人や吐き気や低血圧になる可能性があります。アレルギー体質の人は刺されてしまうとアナフィラキシーショックを引き起こす可能性がありますので、注意が必要です。
遊泳中に気付かず触ってしまい刺された、海岸に打ち上げられたオニヒトデを触ったら刺された、などさまざまなケースがあります。オニヒトデがいると予想される海で遊ぶときは、とくに注意してくださいね。
サメ
「日本に人食いサメなんていないでしょ~」と考えている人は、注意です。日本にも人を襲うサメはいます。ここでは、日本に生息しているサメをご紹介します。
オオメジロザメ
日本で被害が確認されているサメが、「オオメジロザメ」。オオメジロザメは海水のみならず淡水域でも確認されているようです。主に沖縄周辺の海域で生息が確認されています。獰猛な性格をしているので、決して近づかないようにすることが重要。興味本位で近づいてしまうと、襲われて最悪死亡してしまう可能性もあります。
最大で全長4mにもなるオオジロザメは、雑食性ですが、肉食性の傾向が強いとされています。サメの中でも気性が荒いので、人を襲う危険性がかなり高いサメなんです。
イタチザメ
オオメジロザメについて危険なサメが「イタチザメ」。日本でサメの被害に多いといわれています。主に八重山諸島から青森、秋田でも確認されているそう。また宮古島ではこのイタチザメに襲われて、死亡したケースも報告されています。イタチザメは2mから大きいもので6mほど。イタチザメの歯は、ハートの形でその縁はのこぎり状になっています。とても頑丈な歯で、カメの甲羅を簡単に噛み砕いてしまうんですよ。
イタチザメが危険視されていることとして、“なんでも食べる性質”にあります。生きている魚はもちろん、死んでいる魚も食べるそう。海水浴している人間を、エサと間違えて襲ってしまうのです。
遊泳しているときに見かけた際は絶対に近寄らず、すぐに海から出るようにしてください。
ゴンズイ
趣味の釣りで釣り上げたり、シュノーケリングのときに見かけたりしている人も多いのが「ゴンズイ」。主に本州から沖縄の海で見かけることが多いです。体長は約10~20cm程度と小さく、全体的に茶褐色、頭部から尾にかけて2本の黄色線があることが特徴です。
ゴンズイの背びれと尾びれには毒トゲがあります。刺されてしまうと激痛が走り、腫れがってしまいますよ。ひどい場合には刺された幹部が壊死してしまったり、死亡してしまうケースもあります。
毒を持つ魚ではありますが、非常に憶病な性格をしているので、シュノーケリングで近寄っても逃げていくほどだとか。ただし刺されないようために、近づくことはやめましょう。またゴンズイを釣ったときにハリから外そうとして、刺されたりするケースがあったようです。釣り上げた際は素手で触らずにメゴチバサミ等を使うようにしましょう。
おわりに
今回は海で遭遇する可能性のある危険生物についてご紹介しました。刺されてしまうと、楽しかった夏の思い出が一気に最悪な思い出になってしまう可能性もあります。さまざまな生物がいますので、見かけたときは触ったり、興味本位で近づいたりしないようにしてくださいね。
自然をこよなく愛するアウトドアライター。テント泊が大好きで、テントを張れる場所であればどこでもテント泊します。わいわいキャンプも好きだけど、少人数のしっぽりキャンプも好き。培った経験をもとに、使っているギアや読者様のタメになる情報を発信していきます。