皆さんはこんな経験はないでしょうか。
「熱くてダッチオーブンの蓋が開けられない」
「スキレットの持つところが熱い」
「バーベキューで網を移動させたい」
「手締めボルトが硬くて回らない」
などなど。
このようなときに役に立つのがプライヤーです。
人間の手で一番使うのが「掴む」「挟む」「持つ」という行為ですよね。プライヤーがあることで、これらの行為が容易になります。
そのような、便利なプライヤーにナイフやドライバーなどまでついているのが、Victorinoxのスイスツールというマルチツールです。
ここでは、私がスイスツールスピリットを使ってみて分かった魅力と、各モデルの違いをご紹介したいと思います。
スイスツールシリーズとは
マルチツールの定番といえばVictorinox。普段使いからキャンプ、登山の時に一つあると何かと役に立ってくれます。
(出典:Victorinox「フィールドマスター レッド - 1.4713」より)
Victorinoxで有名なのはこのようなタイプのものですが、実はプライヤーが付いている「スイスツール」シリーズも販売しています。
上の公式の動画を見て頂ければ大体の機能がわかると思います。
基本的な機能は以下の通りです。
1. プライヤー
2. ワイヤーカッター(硬度40HRc以下のワイヤー)
3. ハードワイヤーカッター
4. ラージブレード
5. プラスドライバー(フィリップス型1/2)
6. リーマー(穴あけ)
7. multipurpose hook
8. カン切り
9. マイナスドライバー 4mm
10. せん抜き
11. マイナスドライバー 6mm
12. クレートオープナー(金てこ)
13. ワイヤーベンダー(ワイヤー曲げ)
14. はさみ
15. のこぎり
16. メタルソー
17. 金属やすり
18. マイナスドライバー 2.5mm
19. のみ 7mm
20. スクレーパー
21. ワイヤーストリッパー
22. ワイヤースクレーパー
23. ケーブルカバーカッター(縦切り)
24.ケーブルカバーカッター(横切り)
(引用:Victorinox「スイスツールスピリット X シルバー - 3.0224.L」より)
栓抜きや缶切りなどの日常で使うものから、ワイヤーストリッパーなどの特定の状況でしか使わないものまでが一つに集約されています。
使っていて便利だと思う点
これから、一年ほど使って便利だと感じた点を挙げていきます。
使用していて特に便利だと感じる点は
・プライヤー
・ハサミ
・波刃ナイフ
・ドライバー
・プライヤーを開かなくても他のツールが使えるダイレクトアクセス
・不意にナイフが閉じないロック機構
・コンパクト
です。
ひとつずつ見ていきます。
プライヤーの魅力
プライヤーの魅力としては、初めにも挙げた通り
・熱いものを持つとき
・固いものを緩めるとき
・力を入れて固定したいとき
などの状況に対応できることです。
とくに、キャンプなどで鍋つかみやスキレットの取っ手に付けるシリコンなどを忘れてしまったときに便利です。プライヤーを使うことでより安全に蓋を開けたり移動させたりすることができます。
また、バーベキューなどの際にも網を安全に掴んで移動させることもできます。
さらに、ペグを抜くときなどにも活用できると思います。
このように、「掴む」という行為ができるだけで利用の幅がぐっと広がります。
ハサミの魅力
スイスツールは、モデルによってハサミがついています。このハサミはVictorinoxらしく、かなり切れ味がいいです。また、マルチツールのハサミとしては大きいほうで、快適に使うことができます。日常での用途で一番便利なのはハサミかもしれません。
波刃ナイフの魅力
スイスツールはモデルによって波刃ブレードと普通のブレードの二つがあります。私が持っているのは波刃タイプのものです。波刃はよく欧米でパン切ナイフとして販売されていますが、アウトドア用途では普通のブレードでは切りにくい太めのロープを切る際に役に立ちます。
スイスツールの波刃ブレードの根本は普通のストレートになっているので、状況によって使い分けられるのも魅力です。
ドライバーの魅力
使ってみて一番予想外だったのがこのドライバーです。非常に精度がよく、小さいネジから大きめのネジまでしっかりと固定することができ、重宝します。日常でも、自転車の整備や家電の修理の際に優先して使うくらい気に入っています。
ダイレクトアクセスの魅力
プライヤーがついているマルチツールの中には、プライヤーを開かないと他の機能を使うことができないようなものもあります。
その場合、プライヤーを開くのがめんどくさいのと、展開した状態でツールを使わなければいけないので手で握れなくて不便という二つのデメリットがあります。
しかし、スイスツールシリーズはプライヤー以外のすべての機能は、閉じた状態で使用することができます。
そのため、すべてのツールを素早く、正確に使うことができます。
ロック機構の魅力
しっかりとしたマルチツールならばロック機構はついていて当然のものですが、中にはついていないものもあります。ロック機構がないと、刃が抜けなくなったときに不便だったり、何かにぶつかったときに不意に刃が閉じてしまうこともあります。そうすると、指を切ってしまったりするので大変危険です。
また、ロック機構がついているものでも、ロック機構自体が粗悪で外すのが固かったりすると無駄な力を使ってしまい、危険だったりします。しかし、スイスツールのロック機構は非常にスムーズで、使っていてストレスがありません。
コンパクトさの魅力
よくマルチツールに対して言われていることは「それ全部使うの?」ということです。それに対する答えは「ノー」です。
実際、一年ほど使っていますがノコギリや金属ヤスリは数回しか使用していませんし、ワイヤーストリッパーは別の用途で使ったことはありますが、ワイヤーストリッパーとして使用したことはありません。
しかし、すべての機能を使わなくても、プライヤー、ナイフ、ハサミを別々で持ち運ぶよりはコンパクトです。使わない機能も、少々重量がかさむだけで、不便な点はありません。
備えあれば憂いなしです。
スイスツールシリーズの各モデルの違い
スイスツールは、他の有名なシリーズよりはモデルが少ないのですが、それなりに数はあります。また、公式ホームページに明記されていないような違いもあるので、ここで解説したいと思います。
二つのモデル
まず、スイスツールには二つのモデルがあります。それが
①スイスツール
②スイスツールスピリット
です。
違い① 大きさ
まず、二つの違いは大きさと重量です。
代表的なスイスツールXとスイスツールスピリットXの大きさを比較してみると
①スイスツール | ②スイスツールスピリット | |
---|---|---|
高さ | 21mm | 18mm |
長さ | 115mm | 105mm |
重量 | 290.1g | 209.1g |
というようになります。
おもな違いは大きさなのですが、大きいことと重いことによってスイスツールの方がより頑丈です。また、ブレードや各ツールも大きく、本体も握りやすいのでより力を入れて使いやすいのもスイスツールです。
多少重くても頑丈なほうがいい方、ヘビーデューティー向けはスイスツール。
少しでも軽くしたい、あまりガシガシ使わないという方はスイスツールスピリットがいいと思います。
違い② 定規の有無
スイスツールには定規が付いており、本体を開くことによって25cmくらいまでは測ることができます。
(出典:Victorinox「スイスツール X シルバー - 3.0327.L」より)
X,XC,BS,XBSの違い
上記の二つの違いに加えて、日本で取り扱いのあるスイスツールシリーズにはX,XC,BS,XBSという違いがあります。
この文字は、主にブレードの形状とハサミの有無を表しています。その他の機能は同じです。
スイスツールスピリット
スイスツールスピリットの場合は
①XCー波状ブレードとハサミ付き
(出典:Victorinox「スイスツールスピリット XC シルバー - 3.0227.L」より)
②Xー直線のブレードとハサミ付き
(出典:Victorinox「スイスツールスピリット X シルバー - 3.0224.L」より)
③XBSーXの黒色バージョン
(出典:Victorinox「スイスツールスピリット XBS バーニッシュドスチール - 3.0224.3CN」より)
それに加えて、「プラス」はラチェットがついています。
(出典:Victorinox「スイスツールスピリットXCプラスラチェット シルバー - 3.0239.L」より)
スイスツール
スイスツールの場合は
①Xー直線のブレードとハサミ付き。
(出典:Victorinox「スイスツール X シルバー - 3.0327.L」より)
②BSー波状ブレードと直線のブレード。ハサミ無し。
(出典:Victorinox「スイスツール BS バーニッシュドスチール - 3.0323.3CN」より)
そのほかにも、並行輸入品や廃盤になっているモデルもあります。例えば、オリジナル(無印)やCSなどです。
これらのバージョンも基本的にはブレードの形状とハサミの有無以外は共通ですので、参考にしていただければと思います。
まとめると、よりヘビーデューティーのスイスツール、軽量化されたスイスツールスピリット。そして、ブレードの形状とハサミの有無のバリエーションから自分の用途に合ったものを選ぶということです。
最後に
スイスツールシリーズは、日常からキャンプ、自転車旅など様々なアウトドアアクティビティまで幅広く使えるマルチツールです。ひとつリュックに忍ばせておくだけで、急な問題への対応から鍋掴みとしての利用まで、あらゆるシーンに対応できるようになります。
この万能なツールを、これからのアウトドアアクティビティの備えとして入手してみてはいかがでしょうか。
岩と自転車をこよなく愛するが、普段は用事がないと家から出ないインドア派。何事も形から入るタイプで、ギアの知識だけは人一倍。ギア好きをこじらせてアウトドア用品店でバイトをしていました。人生の3分の1を海外で生活し、現在もヨーロッパにて勉強中。海外のアウトドア文化も発信していければと思っています。
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