最近、仕事や学業が休みの日に都会の喧騒を離れてキャンプやトレッキングに行くことが流行しています。そこで、用意しなければいけないのがアウトドア用の装備です。
しかし登山靴やトレッキング用の装備はかなり値が張り、自然の中に行く手前で二の足を踏んでしまう人も少なくありません。
そこで、今回は登山用品よりも比較的安価に買えて、十分トレッキングやキャンプなどに役立つミリタリーブーツを紹介します。
ミリタリーブーツの魅力
まず、ミリタリーブーツの魅力から紹介します。
ミリタリーブーツは軍用に開発、販売されているブーツで実際に軍で使われているものから、それらを模して作られているものまで様々です。
まずは、ミリタリーブーツのいい点から挙げていきます。
コストパフォーマンスが高い
一つ目のメリットとしては、値段が比較的安価なのに十分トレッキング等に使用できるという点です。
しっかりとしたトレッキングシューズが一番安価なもので10,000円前後なのに対して、ミリタリーブーツはその半額程度で購入することができます。筆者が使用しているミリタリーブーツも6,000円で購入しました。
他のミリタリーブーツを見てみても、ミリタリーブランドを売りにしているものや、GORE-TEXが使用されているもの以外は大体10,000円を超えることはないでしょう。
そのため、お財布へのダメージが比較的少なく、その分を旅費に充てることができます。
耐久性が高く、汚れても気にならない
ミリタリーブーツはMIL規格という、軍で使われることを想定した基準をクリアしている素材を使っていることがほとんどなので、耐久性に関しては文句のつけようがありません。
また、ミリタリーブーツは多少汚れても全く気にならないデザインも特徴的で、むしろ泥が付いていた方が様になります。
筆者が履いているミリタリーブーツはすでに4年程度、時には山に、時には田んぼや畑仕事の手伝いにも履いていっています。確かに年相応の傷などはありますが、まだまだ履けるほどの耐久性があります。
トレッキングには十分で快適
インターネットには、トレッキングシューズの姿をした安価なブーツが多くありますが、そのようなブーツは最低限の撥水性がなかったりソールが薄かったり、耐久性がなかったりします。
やはりトレッキングに行くなら快適に歩けることは第一条件。また、靴の性能はアウトドアにおいては怪我や、時に命に直結するのでしっかりとしたものを買うべきです。
その点、ミリタリーブーツは軍での使用を目的として作られているものなので、トレッキングには十分な防水性、そして荒れた道でもしっかりと歩けるような分厚いクッション性と堅牢性を備えたソールが採用されています。
利便性に優れているものが多い
筆者が持っているミリタリーブーツは6,000円という価格ですが、アッパー部分はレザーでできており、他の部分は撥水加工がされたナイロン、そして着脱が簡単なようにサイドジッパーがついていたりと利便性に優れているものとなっています。サイドにジッパーがあることによって、深い水たまりなどに足を入れた場合はジッパーから水が浸入する恐れはありますが、その代わりテントに入る際などに紐をほどいて脱ぎ履きする必要がなくストレスフリーです。
気を付けなければならない点
上では良いところばかり挙げましたが、ここからは気を付けなければいけない点や個人的にダメだと思っている点を挙げていきたいと思います。
見た目がごつい
まずは見た目です。ミリタリーブーツは黒一色でごつごつしたデザインや、ジャングルブーツと呼ばれるものは黒とミリタリーグリーンのコンビネーションが多いです。そのため、見た目がごつく、なおかつ暗く重たい雰囲気のものが多く、自然な色を取り入れた近年のアウトドアファッションには合わないものが多いと思います。
フィッティングはしたほうがいい
次に気を付けなければならない点として、フィッティングがあります。
トレッキングシューズは、アウトドアショップに行けば店員さんがフィッティングをしてくれ、岩場や登山道を模した試着用の階段や短いコースを歩かせてもらえる場合がほとんどです。
しかし、ミリタリーブーツを買える店ではそのようなサービスがあることはほとんどありません。
したがって、自分で試着し自分で判断をしなければいけないので全くの初心者の方は注意が必要です。
ブーツのフィット具合は、一日中歩く登山やトレッキングにおいては最も重要な点の一つになってきます。ブーツがしっかりフィットしていないときは、靴擦れやねん挫などに繋がってしまいます。
本格的な登山には合わないかも
ミリタリーブーツはいくら頑丈で歩くために作られているといっても、本格的な登山や悪天候下の登山、何泊にも及ぶ縦走にはやはり登山靴のほうがいいと思います。
もちろん使えないことはありません。しかし利便性や快適性、そして最重要な点である安全性を考えるとしっかりとした登山靴のほうがお勧めです。
もちろん、ミリタリーブーツの中にもGORE-TEXを使ったり、硬めのソールを採用したりと登山靴と変わらない機能性のものもあります。しかし、そうしたブーツは登山靴と値段が同じです。
もしもミリタリーブーツのスタイリングや履き心地、耐久性が気に入ったのであれば、そのような値段が高くよりしっかりとしたブーツを購入するのもいい選択だと思います。
粗悪品も多い
また、ミリタリーブーツに限ったことではありませんが、特にインターネット上には粗悪品が数多く存在しています。ミリタリーブーツと称していても、ただ見た目だけミリタリーブーツを模している安物のブーツもたくさんあります。
特に初めての購入の際には、インターネットではなくしっかりとした店で試着し、しっかりとしたメーカーのものを購入してください。
ミリタリーブーツの種類
ここからは、ミリタリーブーツの種類について解説していきます。
実は、ミリタリーブーツといっても大きく分けて4つの種類があります。それが、コンバットブーツ、タクティカルブーツ、ジャングルブーツ、それとデザートブーツです。
1. コンバットブーツ
(画像出典:batesfootwear.com)
まずは、一番オーソドックスなザ・ミリタリーブーツであるコンバットブーツを紹介します。
コンバットブーツは兵士が戦闘時(コンバット)に履くブーツです。行軍のときにも履かれているものなので、機能的には耐久性や防水性が重視されています。
また、ブーツ自体に固さがあり、ハイカットからミッドカットのものが多いので、岩場でのねん挫を防止することができます。
ソールは厚く、硬めのものが多いです。履き心地としてはトレッキングシューズとあまり変わりません。また、市販のものはインソールにクッション性があるものを採用していることが多いです。そのため、履き心地がふわふわとして快適なものが多く、長時間快適に歩くことができます。
しかし一方で、その耐久性のため使われている素材が重たいものが多いです。そのため、人によっては歩いているうちに疲れてしまうこともあるかもしれません。
2. タクティカルブーツ
(画像出典:Batesfootwear.com)
タクティカルブーツは、主に警察や特殊部隊が履いているもので、アウトドアではなくどちらかというと市街地での利便性を重視しています。仕様は、アッパーにレザー、そしてその他の部分に撥水加工が施されたナイロン素材を採用しているものが多いです。
ナイロン素材が採用されているため、革のブーツに比べて、非常に軽量なものが多いです。そのため、長時間歩いていても足が疲れにくいです。
ブーツはハイカットやミッドカットのものが多く、足首もしっかりと固定されているのでねん挫の予防にもなります。
ソールは分厚くクッション性のあるものが採用されています。コンバットブーツよりも柔らかいものが多く、履き心地は一般的なブーツに近いです。また、都市での使用を想定されているため、滑りやすい濡れた鉄板等で滑りにくい加工がされています。
そのほかの点としては、サイドジッパーが付いているものが多いので靴ひもを緩めることなくブーツを着脱することができます。また、サイドジッパーを下げたままにしておくとスリッパのように使うこともできるため、キャンプ等にお勧めです。
筆者が所有しているのもタクティカルブーツで、日常生活にはもちろん、トレッキングなどにも使っています。
3. ジャングルブーツ
(画像出典:mcraefootwear.com)
次に紹介するのがジャングルブーツです。
ジャングルブーツは、その名の通り高温多湿のジャングルで使用されることを想定して作られたブーツです。ジャングルのような高温多湿の環境下では、全面が革でできているようなブーツでは足が蒸れ、時に疾患にも繋がってしまいます。
そこで開発されたのがジャングルブーツです。
したがって、ジャングルブーツの特徴としては革とナイロン素材で作られ、通気性が最重要視されているということです。さらに、通気性をより高めるために靴の側面に通気口が設けられているものもあります。そのため、高温多湿の日本の夏におけるトレッキング等は快適にこなせるでしょう。
しかし一方で、ジャングルで使われるのだから当然防水性があると思われがちですが、通気性を高めるために防水性はほとんどないものが多いです。靴側面に通気口が開いているものなどは特に、少し深い水たまりに足を入れただけで水が染み込んできます。
ジャングルブーツは登山靴とは違って濡れないことよりも、濡れても早く乾くことに重点が置かれているので、冬の登山や雨の日のトレッキングには使わないことをお勧めします。
4. デザートブーツ
(画像出典:511tactical.com)
最後に紹介するのがデザートブーツです。
デザートブーツは、その名の通り砂漠地帯で使うことを想定して作られているブーツで、砂との接触を考えスエードで作られているものが多いです。また、スエードだけではなくナイロンやコットンも同時に使用されているものが多いので、通気性の面でも優れています。
このスエードでできたブーツにヒントを得て作られたのが、クラークスの代表作であるデザートブーツです。
とはいえ、デザートブーツもジャングルブーツと同じように防水性があまりないため、汎用性が高いとは言えません。
トレッキングやキャンプに使えそうなブーツは?
以上の特徴から、トレッキングやキャンプなどのアウトドアアクティビティに使えるミリタリーブーツは、
・耐久性が高く防水性があるコンバットブーツ
・軽量かつ耐久性があるタクティカルブーツ
この2つです。ジャングルブーツとデザートブーツは特定の環境では便利な反面、使用用途が限られており汎用性がないので一足目にはお勧めしません。
では、コンバットブーツとタクティカルブーツ、どちらがいいのでしょうか?
コンバットブーツがいい場面
コンバットブーツが生きる場面は、登山、トレッキングなどの一日中歩きまわる時です。
やはりコンバットブーツの耐久性と防水性は自然の中でこそ生きます。アウターソールが固いものが多いため砂利道はもちろん、ちょっとしたガレ場などはそつなくこなしてくれるでしょう。
また、少し寒くなってきた時期はコンバットブーツのほうがナイロンを使っていない、もしくは面積が少ないため暖かく、適しています。
さらに、防風性があるためバイクでのロングツーリング等にも使えるでしょう。アッパーも分厚い革で作られているものが多いので、シフトチェンジによる靴へのダメージにも耐えてくれます。むしろ、少し傷ついていた方が様になるのではないでしょうか。
タクティカルブーツがいい場面
タクティカルブーツがいい場面は、日常生活や軽いトレッキング、そしてキャンプです。
タクティカルブーツは、その軽量さと履き心地の柔らかさから、日常生活で履いていると歩くのが楽になります。また、そのことからトレッキングブーツとしても最適でしょう。さらに、特徴のところでも書いたように、サイドジッパーが付いているものが多いので、登山靴やコンバットブーツと比べてテントに出入りするときの脱ぎ履きが格段に楽になります。
しかし、一方でアウターソールが柔らかいことや、足がコンバットブーツのように固定されないため、重い荷物を背負っての長距離に及ぶ登山や岩場、ガレ場にはリスクが伴うことを頭に入れておかなければなりません。
どこで購入するのか
ここまで読んでいただき、興味を持ってくださった方はどこで購入すればいいのかということを疑問に思っていると思います。
ミリタリーブーツは登山用品店に置いてあることは稀で、あっても登山用品ブランドが開発、販売しているものがほとんどだと思います。そういったミリタリーブーツはGORE-TEXなどが使用されているものが多く、値段も高い傾向にあります。
コストパフォーマンスに優れたミリタリーブーツを探すときは、ミリタリーウェアを販売している店を覗いてみるのが一番の近道です。
いくつか有名な店を挙げておきます(以下はいずれも記事執筆時点での情報です)
1. 中田商店(東京)
まずは、東京の上野に二店舗の店を構える中田商店です。このお店は日本で一番有名なミリタリーショップといっても過言ではなく、ミリタリーグッズといえば中田商店というほど有名なお店です。筆者も個人的に何回も訪れており、ブーツもここで購入しました。コストパフォーマンスに優れたブーツが多く、品ぞろえも豊富で試着も可能です。
中田商店 アメ横店
住所 | 〒110-0005 東京都台東区上野6丁目4−10 |
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電話番号 | 03-3831-5154 |
営業時間 | 10:00-20:00 |
定休日 | なし(元旦のみ休業) |
URL | https://www.nakatashoten.com/ |
中田商店 御徒町店
住所 | 〒110-0005 東京都台東区上野6丁目2−14 |
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電話番号 | 03-3839-6866 |
営業時間 | 10:00-20:00 |
定休日 | 月曜日 |
URL | https://www.nakatashoten.com/ |
2. SEA BEES(京都)
筆者が個人的におすすめなのが、京都のSEA BEESというお店です。店舗はおしゃれなアパレルショップが軒を連ねている寺町通りにあります。
SEA BEESは本格的なミリタリー製品というよりも、少しライトな感じで普段着にもできそうなおしゃれなアイテムが多い印象です。また、値段も安くコストパフォーマンスがいいのもおすすめポイント。初めてミリタリー系のファッションを取り入れる人でも入りやすい店構えなので、一度訪れてみてはいかがでしょうか。
住所 | 〒604-8071 京都府京都市中京区寺町通六角上る永楽町238-1 |
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電話番号 | 075-223-0415 |
営業時間 | 11:00-20:30 |
定休日 | なし |
URL | https://www.rakuten.ne.jp/gold/yamamotojp/(楽天市場) |
3. レプマート(大分、熊本、大阪、東京)
次に紹介するのがレプマートです。
レプマートは近年流行の兆しを見せているサバイバルゲーム用品を扱っている店で、モデルガンなどが有名な大分発祥の店です。現在では東京や大阪にも店舗を構えています。
レプマートにはモデルガンだけではなくサバイバルゲーム用のウェアもあり、もちろんミリタリーブーツもあります。しかし、5.11などのブランド物が多く、少し高いブーツが多い傾向があります。
レプマート 大分本店
住所 | 〒870-0035 大分県大分市田中町1−3 南大分ビル1F |
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電話番号 | 097-576-9610 |
営業時間 | 12:00-20:00 |
定休日 | 月曜日 |
URL | https://repmart.jp/ |
レプマート 東京アキバ店
住所 | 〒101-0021 東京都千代田区外神田6丁目-14-12 神田中沢ビル 5階 |
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電話番号 | 03-5817-8663 |
営業時間 | 11:00-21:00 |
定休日 | なし |
URL | https://repmart.jp/ |
4. WAIPER(福岡)
最後に紹介するのが、WAIPERというミリタリーショップです。実店舗は福岡にあります。
しかし、特筆すべき点は通販の品ぞろえで、本格的な軍放出品からDr.Martensやアウトドアブランドの品まで種類が豊富です。筆者もオンラインショップを利用していますが、発送も早く対応も丁寧です。
しかし、ブーツはフィッティングが命。自分のサイズやフィット感が分かっていないときに通販で買うのはあまりお勧めしません。したがって、実店舗に行って実際に試着するのがお勧めです。
住所 | 〒810-0005 福岡県福岡市中央区清川3丁目26−17 WAIPERビル1階 |
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電話番号 | 092-791-5252 |
営業時間 | 12:00-19:00 |
定休日 | 土曜日 |
URL | https://www.waiper.co.jp/ |
興味があるなら実店舗へ
以上、紹介したようにミリタリーブーツはトレッキングシューズに比べて安価に購入することができ、十分その役割を果たしてくれます。
しかしその分、自分でしっかりと選ばなければいけないというデメリットもあります。
日常生活で使う分には多少フィット感が悪くても、靴擦れしてしまった、という程度で済みます。しかし、登山やトレッキングではそうは言ってられません。靴擦れ一つとっても、重大な事故に繋がる危険性があります。
したがって、もしこの記事で興味を持っていただけたら、近くの実店舗へ行き、履いてみることをお勧めします。
(アイキャッチ画像出典:batesfootwear.com)
岩と自転車をこよなく愛するが、普段は用事がないと家から出ないインドア派。何事も形から入るタイプで、ギアの知識だけは人一倍。ギア好きをこじらせてアウトドア用品店でバイトをしていました。人生の3分の1を海外で生活し、現在もヨーロッパにて勉強中。海外のアウトドア文化も発信していければと思っています。