「フィトンチッド」で心身ともに健康に！森林浴のススメ

フィトンチッドとは

フィトンチッドとは、木の表面などに傷をつけたりすると発せられる、木々が持つ独自の香り成分です。

この名前の由来は、20世紀前半に、旧ソ連の生物学者である「ボリス・ペトロヴィッチ・トーキン博士」により名づけられたもので、意味はロシア語で「フィトン = 植物」、「チッド = 殺す」という意味の造語といわれています。

名前の由来だけをきくと、なんとも恐ろしいイメージです。しかし、植物たちにとっては、常に植物たちの中に入り込もうとする有害な菌や昆虫から、自分の身を守るための護身用の物質なのです。

それは、木々などの植物に傷がつくと、そこから細菌などが入り込まないように、その周りの生物を殺してしまう殺菌作用のある物質を放出するのだそうです。この名前が付いた理由に納得ですね。

それらを実証するように、松やイチョウやクスノキなどの周りには雑草があまり生えていません。それは落ちた葉から、発芽を抑制する物質が土に浸透し、雑草などの他の生物が自分の生息する領域に入り込まないよう、防ぐためと言われています。

さらに、大自然には多くの野生動物も生息しており、糞などの排せつ物や亡骸など、いろいろな堆積物があります。本来ならそれらの臭気が漂っていても当然ですね。しかし、フィトンチッドのもつ消臭、脱臭効果で常に空気を浄化してくれているため、それらを感じさせません。そのおかげで、森林に入ると清々しく爽やかで、空気が美味しいと感じるわけです。

フィトンチッドは、人間にとっては森林浴効果の源とされ、心身ともにとても良い影響をもたらしてくれます。その効果が期待できるのは、新緑の時期の4月から少しずつ増加し、6月から8月にかけての頃が最も多いと言われています。

効果・効能

By: Juliana Dacoregio

フィトンチッドは、ストレス解消、疲労回復、開放感など、人間の心身にとってプラスに働きかけます。

その他、以下のような多くの効果が報告されています。

・精神安定効果

・ストレス緩和

・自律神経の安定

・良質な睡眠の促進

・免疫力の向上

・高血圧の改善

・皮膚病・呼吸器系疾患の改善

・アレルギー性疾患の改善と予防

・NK（ナチュラルキラー）細胞を活性化（ガン細胞を攻撃して排除する力を高める）

森林浴について

森林浴をする時に、五感をフルに研ぎ澄ませて行うと、より高い効果を得ることが出来ます。

【嗅覚】

By: danjo paluska

木々などの植物が放出するフィトンチッドは森の香り成分です。香りが脳に働きかける作用は直接的のため、深くゆっくりと深呼吸をする事で、体にたくさんのフィトンチッドを取り入れる事ができ、体のあらゆる箇所の緊張がほどけ、リラックスができます。

呼吸をするコツは、鼻からゆっくりと、肺を膨らませるように空気を吸い込みます。息を吐くときは、口を軽くすぼめて細くゆっくりと吐き切ります。この時に、吸うときの倍の時間をかけて、お腹を凹ませながら、肺とお腹の空気を全部吐き切るよう意識して行いましょう。そうすることによって、普通に呼吸するときと比べて、リラックス効果が高まります。

【視覚】

By: AirHaake

緑色は鎮静作用があるといわれており、森の緑を見るだけで心が落ち着き、心身ともにリラックス効果を得られます。脳の活動、興奮を抑え、血圧の低下といった作用も期待できます。

【聴覚】

By: Carol VanHook

森の中は静かなイメージですが、耳を澄ますといろいろな種類の音が聞こえてきます。鳥たちのさえずりや、川のせせらぎの音、木立の葉っぱが風に揺れる音など、自然の中ならではの心地の良い音です。この音を聞くことによて、上記の嗅覚と同じ、脳の活動、興奮を抑え、血圧の低下といった効果が期待できます。

【触覚】

By: brando

芝生の上などでゴロリと寝転んだり、草の上を裸足で歩くと気持ちが良い、リラックスできる、なんて経験はありますせんか？それは手の平や足の裏、体全体で自然に触れる事で、よりくつろいだ感覚や心地よさが開放感につながり、リラックス効果が得られるためです。

さらに（※1）『アーシング』効果も得らるので一石二鳥です。

（※1）『アーシング』とは、カリフォルニア発祥のシンプルな健康法のことで、素手や素足で直接地面や樹木に触れるだけ。そうすることによって、体内に帯電した有害な静電気を放電するという、ちょっと変わった健康法です。大地のエネルギーによって、活性酸素が減少したり、血流の改善、さらにホルモンバランスや自律神経が整う効果が期待できます。