最近冬も本格化して、寒くなってきました。秋や冬にするキャンプは、キャンプ場が比較的空いており、虫もおらず、夏に比べて平均雨量が少なく絶好のキャンプシーズンです。
しかし、最大の欠点としては寒いことです。しっかりと防寒対策をしなければ、時には命にかかわる危険性もあります。
そこで、今回は冬の防寒着の定番となったゴアテックス等のレインウェアの特徴と、選び方について解説していきたいと思います。
レインウェアの魅力
まず初めに、レインウェアの魅力をご紹介します。
防水、防風性能
レインウェアの最大の魅力は何といっても防水性能が高く、尚且つ防風性能もあるので雨風から体を守ってくれるところです。咄嗟の雨にもフードを被ることで対応ができ、寒い冬の風で体が冷え、体調を崩してしまうことを予防できます。そのような点から、レインウェアはアウトドアアクティビティだけではなく、都市部で普段着としても活用されています。
実際、筆者が暮らしているヨーロッパの冬は一か月のうちの20日以上が曇りか雨で、多くの人は雨でも傘を持たずに外出し、レインウェアを着用しています。
透湿性が高く蒸れない
レインウェアの最大の魅力は防水、防風性能と書きましたが、ではコンビニ等で購入できるカッパとは何が違うのでしょうか。防水性やデザインもそうですが、その答えとして真っ先に挙げられるのが透湿性です。透湿性というのは体から出た水分をどれだけ外に出すかという性能のことを表しています。人は、冬といえども常に体表から汗が出ています。
平均的な大人の発汗量は、何もしていなくても一時間で約50g出ているといわれています。軽い運動をした場合にはその十倍くらい発汗するので、軽い運動を伴うアウトドアアクティビティの時はなおさら透湿性が重要になってきます。そのため、透湿性のないビニールカッパなどを着ていると、次第に内側に水滴が付き、汗冷えを引き起こしてしまいます。
多くのレインウェアはこの透湿性が高く、動いて汗をかいても蒸れず、汗冷えをすることなく快適に動くことができます。
レインウェアを選ぶときに見るべきポイント
このように、高機能なレインウェアですが、その機能性がゆえにいろいろな専門用語がかかれており初めて選ぶ際に分らないことが多くあると思います。ここでは、基本的に見るべきポイントを解説していきたいと思います。
基本的に選ぶ際に見る点は「生地の素材」「耐水圧」「透湿性」の三点です。これらの三点を、自分の用途や予算と相談しながら選ぶことが、レインウェアを選ぶときの重要なポイントになります。
まずは生地を見て「撥水」か「防水」かをチェック
まずは生地をチェックします。何故かというと、レインウェアには「防水」と「撥水」の二種類があり、それを判断するにはどのような生地の構造になっているかをチェックする必要があるからです。
まず、防水と撥水の違いから説明します。
撥水加工
(画像出典:patagoniaホームページ「Patagonia Men's Quandary Jacket」より)
撥水加工は、生地の表面にポリウレタンやシリコンなどでコーティングをし、水を弾くようにする加工です。これは、テントなどにも使われている加工の方法と同じです。撥水加工のメリットは、比較的安価なことと、生地自体の網目を塞がないため、高い透湿性を確保できることです。また、防水スプレーなどは撥水コーティング剤なので、スプレー等で防水性を上げることもできます。
しかし、一方で防水性がある生地よりも防水性能が低く、コーティングも使用しているうちに剥がれ、防水性能が低くなってしまうのが難点です。また、ポリウレタンなどは加水分解を起こしてしまうので、寿命が比較的短いものが多いです。
防水加工
(画像出典:GORE-TEXホームページ「GORE-TEX Active ガーメント テクノロジー | GORE-TEX ブランド」より)
一方、防水は生地そのものが水を通さない構造になっているものです。有名なゴアテックスなどはこの防水で、生地が破れない限り防水性能が落ちることがありません。生地自体に防水性能があるため、コーティングのように使用とともに防水性能が落ちる速度が遅く、加水分解によってウェアがダメになってしまうということがありません。そのため、長く使えるウェアが多いです。
しかし一方で、撥水加工のウェアと比べると高価です。
どうやって見分けるのか?
この二つの見分け方は、生地の種類で判断します。
例えば、ゴアテックスの3レイヤーなどは、防水性があるメンブレンという生地を耐久性のある生地でサンドイッチしている構造になっているので、防水です。したがって、「〇層構造」と謳われている製品は、基本的に防水であると判断していいでしょう。
このようなスペックに関する記載はウェアに付いているタブ、インターネットショッピングならばページに必ず書いてあるので、じっくり見て判断しましょう。
一方で、Patagoniaなどが採用しているDWR(耐久性撥水)は、撥水加工です。あとは、値段が安価なものは「防水」と謳われていても撥水加工が圧倒的に多いです。
防水性能を表す耐水圧をチェック
(画像出典:weathernews.jp「雨具選びで知っておきたい「耐水圧」と「透湿性」」より)
次に、レインウェアで重要な防水性を見ていきます。これは、耐水圧という数字を見ることによって判断が可能です。
耐水圧の数値と、どれくらいの雨に耐えられるかという指標は以下のようになっています。
20,000mm | 嵐 |
---|---|
10,000mm | 大雨 |
2,000mm | 中雨 |
300mm | 小雨 |
耐水圧は1cm四方の筒の下に生地を敷き、その中に水を入れていきどれくらいの高さまで耐えられるかという実験をもとに設定されています。なぜこのような測り方がされているかというと、人の動きによって生地にかかる圧力が変化するからです。
例えば、スノーボードをしていて雪の上に座る場合、自分の体重がズボンの生地に圧力となって加わります。その時に、生地の耐水圧が300mmしかなければすぐに水が染み込んできてしまします。
ちなみに、一般的な傘の耐水圧は500mm程度と言われています。それに比べてレインウェアの耐水圧は大体10,000mm前後、スキーや登山に使うならば20,000mmあったほうが快適だと言われています。
透湿性をチェック
(画像出典:一般財団法人ボーゲン品質評価機構「【各種機能性】透湿性」より)
透湿性は、登山などのアウトドアアクティビティの際に使用したいと考えている場合は特に注目したい点です。なぜなら、透湿性が低いと、中に汗が篭ってしまい、汗冷えにつながってしまうからです。
この透湿性の数値は24時間でどれくらいの量の水分を外へ逃がしてくれるのかということを表しています。例えば、透湿性が5,000gの場合は24時間で5,000gの水を外へ放出する生地だということです。
人が軽い運動をする際に発する汗は、平均で約500gだとされているので、もし軽い運動を伴うアクティビティに使おうと思っている場合は、最低でも5,000g、もう少し激しい運動に使う場合や、快適に着たいならば最低でも10,000g、予算があれば20,000gのものを選ぶべきです。
まとめ
まとめると、レインウェアを選ぶ際の基本的な三点はどのように防水性を持たせているのかという「生地」、どれくらいの防水性があるのかという「耐水圧」、そしてどれくらい快適に着れるのかという「透湿性」の三点で判断できます。
また別の記事で、防水加工生地について詳しくまとめましたので、よろしければこちらもご覧ください。
↓
知っておくとレインウェア選びが楽しくなる「防水加工生地」について
https://outdoor-hacker.com/fashion/rain-wear-waterproof-material/
岩と自転車をこよなく愛するが、普段は用事がないと家から出ないインドア派。何事も形から入るタイプで、ギアの知識だけは人一倍。ギア好きをこじらせてアウトドア用品店でバイトをしていました。人生の3分の1を海外で生活し、現在もヨーロッパにて勉強中。海外のアウトドア文化も発信していければと思っています。