長い梅雨が明けて、いよいよ夏本番! レースはまだ開催されないですが、トレイルランニングを始めたばかり方は、デビューの日に向けて練習を本格化したいところではないでしょうか。
そこで今回は、暑い夏場でも効率的にトレーニングできる練習法をお伝えします!
涼しい場所で練習する方が効率的
夏場でも頑張って山へ行くという方もいるかと思いますが、夏の練習は、できるだけ涼しい環境で、心拍と骨格筋に負荷がかかるトレーニングをするのが効果的です。
運動のパフォーマンスは、暑熱下だと低下します。たとえば、マラソンのタイムは外気温が12.8度を超えると、そのあと5.5度ずつ上がるごとに、パフォーマンスが1.6~3.0%低下することが研究から分かっています。
暑いなか外を走ることで得られる効果
暑いなか走ると、暑熱馴化(しょねつじゅんか)が起きるといわれています。つまり、体が少しずつ暑さに慣れていきます。
そのため、暑い地域や時期のレースに参加する人は、夏場のトレーニングで暑さに強い体を作っておくのがポイントとなります。
具体的には、暑熱馴化によって体に以下のような変化が現れます。
・低い体温でも多量の汗をかけるため、体の熱を逃がしやすくなる
・血しょう(血液中の液性成分)が増えて皮膚血流量が増える
・汗から失われるミネラル成分の量を減らせる
人間は体温が上がってくると、皮膚の血管を拡張して血流量を増やしたり、発汗を促進したりして熱を逃がします。暑熱順化が完成すると、この作用が捗るため、暑さにより強い体が手に入ります。
参照
・環境省「熱中症環境保健マニュアル 2018」
・みんなの暮らし日記ONLINE「熱中症になりにくい体づくり『暑熱順化』とは?」
・株式会社クレーマージャパン「暑熱順化」
必ずしも暑い外を走る必要はない
ただ、暑い時期のレースに参加する人以外、このトレーニングは必要ないと思います。私の観測範囲に限りますが、トレイルランニングの専門書や運動生理学の本にも、そのように書かれていることが多いです。
昔、私は熱い中で練習していた時期がありました。
当時はトライアスロンをメインとしていたので、「レースは炎天下なのだから、練習も同じような環境で取り組むべき」という思い込みを持っていました。具体的には、真夏の8月に皇居で30km走などをやっていました。
ですが、練習後はいつも熱中症になってしまいました。また練習自体も、ひどく体力を奪われるため、後半になると設定ペースを守るのも精一杯になり、効果を実感できていませんでした。
実際、真夏に外を走るトレーニングは、レースでの競技力向上にはつながりにくいです。心拍は上がっても暑さで骨格筋が動かないからです。
また暑熱下でのトレーニングは、深部体温が上昇して中枢神経系に異常をきたしてしまい、疲労が長く残ってしまう恐れがあります。こうなると、トレーニング効率も上がりません。
その後、私は練習データを取って分析したり、専門書を読んだりする中で、涼しい環境で練習するほうが効果的だと知り、今は屋内での練習に切り替えています。
以上の理由から、夏場は涼しい環境で、心拍と骨格筋に負荷のかかる練習をするのがおすすめです。もし走るなら、夜間や早朝など涼しい時間にしましょう。
夏場オススメのトレイルラントレーニング
個人的にはジムをフル活用すべきだと思います。
また、涼しい山でのトレーニングもオススメです。具体的には、ナイトトレイルや、日本アルプスなど標高の高い山での練習です。
ナイトトレイル
ナイトトレイルなら、夏場でも質の高いトレーニングが行えます
ジムを使ったトレーニング
ジムなら暑さを気にせずトレーニングできます。トレッドミルのランニングなら、心拍にも骨格筋にも負荷をかけられます。またクロストレーニングのような、ランニング以外の有酸素トレーニングも効果的です。
エアロバイク
トレイルランのトレーニングに効果的です。専門書でも推奨されており、STRAVAを見るとトップ選手も活用しています。Dylan Bowman選手やRory Bosio選手も、バイクを使ったトレーニングを取り入れています。
最初は量を意識して、慣れてきたら徐々に質を意識したトレーニングを心がけてみましょう。
水泳
水泳によって、全身の筋力バランスが良くなります。また上半身の筋肉が発達し、腕をしっかり振って走れるようになるので、ベースのスピードアップにつながります。
(水泳を頑張った日にランニングすると、腕がパンパンで振れないくらいになります。それくらい負荷がかかる効果的なトレーニングです)
トレッドミルでの傾斜走
特に登りの練習に向いています。実際に山を走るより、登りに対する力が上がります。
実際の登りは大抵、細かな平地や短い下りなどもある複雑な形をしていますが、トレッドミルにはそれがありません。つまり登りに特化したトレーニングができます。
ただ、レースで必要な動体視力は外を走ることでしか身につかないので、涼しい時間帯に山に行くなり、緑地公園などの不整地に行くなり、トレーニングを工夫しましょう。詳細は、以下の記事を参考にしてください。
近くに山がない方向けのトレイルラントレーニングについて解説!
https://outdoor-hacker.com/trailrunning/daily-trail-training/
トレッドミルでのペース走
トレッドミルの傾斜走とセットで取り組みたいのが、LT値の向上です。タイムを狙うなら必ずこの練習も取り入れておきましょう。暑い中での運動能力向上にも効果があります。
標高の高い山でのファストパッキング
荷物を背負ってのファストパッキングも効果的です。累積標高をかなり稼げ、絶景も楽しめます。山小屋の利用も考えるなら、夏場しか行けないので今がチャンスです。
まとめ
以上、夏場のトレーニングについてでした。ランニング以外の練習も、ぜひいろいろ試してみてください。
ただし、いきなり激しい練習は禁物! 徐々に慣らすように取り組んでいきましょう!
自身の経験を元に、トレイルランニングの競技力向上に関連した情報などを発信しています。
トレイルランだけでなくファストパッキングも好きなので、自身の経験を元にオススメギアの紹介も発信していきたいと思います。
【2019戦績】
・熊野古道マウンテンランレース 準優勝
・スパトレイル3位
個人ブログ
https://notrailnolife.com/
Instagram
https://www.instagram.com/mtrokko/
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