トレイルランニング初心者の中には、どのレースに参加すべきか迷っている方もいるかと思います。
私自身、初心者の頃、この悩みにぶつかりました。自分の走力、得意な地形、レース前日には何をすべきなのか? など、知人に色々と聞きながらレースに参加して経験を積んできました。
そこで本記事では、レース選びのポイントからスタートラインに立つまでの過ごし方について解説します。参考にしてみてください。
レース選びのポイント
トレイルランニングは山と山をつないで走る競技のため、通常ロードのレースより距離が長いです。
しかし、出場するレースを距離だけで決めてしまうのはもったいないですし、危険でもあります。レースの難易度は、距離以外の要素も関係してくるからです。
コースの難易度
距離を決めたら、コースの難易度も確認しましょう。
難易度は高低図を見て判断します。高低図はそのレースのアップダウンの激しさを表しているからです。
次に、どのような路面を走るかを調べます。ロードとトレイルの割合によって難易度は変わるからです。アップダウンが多くても、ロードが多ければ難易度は下がります。逆にアップダウンが少なくても、路面が悪いコースなら難易度は上がります。
また、地面はぬかるんでいるのか、ドライなのかも重要です。それによって選択するシューズ(のラグの深さや堅牢性、軽さなど)が変わります。
自分の得意分野の見極めも重要
レースに出る際は、自分がどのような地形が得意かも考えましょう。たとえば、ロードや林道を走る方が楽しい人は、最初はそうした区間の多いレースに出場するのが良いでしょう。
見極めは、一緒に走る仲間の情報を参考にしましょう。「登りが強いね!」「下りの足さばきが早い!」といった客観的な感想は、自分の得意分野と言えます。
自分の得意な地形が分かったら、それに近いレースを見つけてみましょう。その際、高低図やYouTubeでコースを具体的にイメージすることが大切です。
エイドの距離とその内容
レースを探す際には、エイド間の距離と、その内容もチェックしましょう。エイドの内容が充実していれば、自分の荷物の量が減り、トレイルランで重要な機動力が手に入ります。
また、エイド間が難易度の高い高低差や路面で20kmほど離れている場合は注意が必要です。出場する際は、1つ前のエイドで水をしっかり補給しておきましょう。
オススメのレース
これまで私が出場した中で、初心者にオススメなレースを紹介します。距離に関わらず、走っていて嫌にならないコースを中心に挙げていきます。
1. 熊野古道マウンテンランレース
3月に和歌山県で行われるレースで、距離は32キロ。起伏が激しい中にもロードが多いのが特徴です。
トレイルランが嫌にならない程度にトレイル区間もあるため、これからトレイルランを始める方がその醍醐味を味わうのにオススメです。
2. ハセツネ30K
こちらもロード区間が多くて初心者にオススメです。
ハセツネとは日本山岳耐久レースのことで、本戦は毎年10月末に行われます。ハセツネ30kは、その距離が短いバージョンで、このレースに出場すると本戦の優先枠を得られるため人気を呼んでいます。
トレイルランニングのブースなどもたくさん出ているため、情報もたくさん入ってくるので、雰囲気を掴めます。
3. IZU TRAIL JOURNEY(伊豆トレイルジャーニー)
70kmと距離は長いですが、非常に走りやすく景色が美しいレースです。ボランティアのサポート、エイドステーションの豪華さ、景色、ホスピタリティなど、全体として完成度が高いです。私も40km以上のレースはこれが初めてでしたが、トレイルランニングをとても好きになった大会です。
コースとしては林道が多く、急な斜面などはあまりありません。エイドステーションには、地元のおいしい郷土料理などが並びます。朝早くスタートするため、ナイトトレイルデビューにもうってつけの大会です。
(画像は、IZU TRAIL Journey公式webサイトより引用)
4. SPATRAIL(スパトレイル)
IZU TRAIL Journeyと同じく、起伏が少ないレースです。70kmの部もありますが、後半にパンチ力のある上りがあるので、32kmか56kmから走るのが良いでしょう。観光名所の四万温泉がスタートで、ゴールが草津温泉なので、家族で観光がてら来るのも良いでしょう。
5. 比叡山InterNationalTrailRun
起伏が激しい50kmのコースですが、エイドの充実ぶり、運営のホスピタリティの高さ、里山を走るので多くの応援を受けられる点が魅力のレースです。比叡山延暦寺がスタートでありゴールです。上りに自信のある方は、ぜひエントリーしてみてください。
初心者にはまだオススメできないレース
コースの難易度が高いレースは避けましょう。
ただ、ここで紹介するレースは難易度が高いだけで、地元の方々の応援やホスピタリティ、エイドの応援など素晴らしいものばかりです。慣れてきたら、ぜひエントリーしてみてください。
1. OSJ新城32km
距離が短いので手軽にエントリーできそうですが、実は上級者向けのレースです。もし参加するなら、最も短い11kmから参加するのが良いでしょう。
エイドの内容がほぼ水だけ。路面は非常にテクニカルで岩場も多く、心身ともにかなり削られます。私自身、相当走り込んできましたが、このレースはとてもきつかったです。
自分の持っている装備だけで長い距離を走り切るのがトレイルランの真髄ですが、このレースではそれを高いレベルで要求されます。レース慣れしてから参加しましょう。
2. 奥三河パワートレイル
前半に降って、後半にがっつり上るレースです。距離も70kmあるので、初心者には少し難しく、気候が暑くなると、難易度はさらに上がります。
ただ、エイドステーションの内容、エイド間の距離、レースのホスピタリティなどはとても良いので、力をつけてからぜひチャレンジしてみてください。
レース前日の過ごし方
レース前日は、コース説明会などやることが多いため、ルーチン化しておきましょう。主に必要な作業は以下です。
1. レース会場にて必携品チェックと競技説明会
この必携品チェックと説明会を受けないと、レースには参加できません。
競技説明会は大きなレースの場合、3回程度開催されますが、なるべく早い回(できれば1回目)に参加しましょう。後ろのスケジュールに余裕がでます。
■レース会場までにやること
・早めに家を出て、早くレース会場に到着する
・必携品チェックを済ませる
・1回目の競技説明会に出る
2. 購入し忘れていたものを購入する
会場にはショップがあるので、必要ならここで補給食やテーピングなどを購入しておきましょう。
ザックやレインウェアも買えますが、当日使用するものを現地で購入するのはリスクなので避けてください。買い替えを検討している消耗品を購入するくらいの感覚でいましょう。
テーピングのサービスなどもあるので、気になる方はアドバイスを聞いておくと良いでしょう。
■ブースで購入するもの
・購入し忘れていた補給食やテーピングなどの消耗品(レインウェアなどは物色程度に)
3. 宿に向かう
少し辺りを散策しても良いですが、次の日は朝早いので、早めに宿に向かいましょう。
私の場合、遅くとも17時までには宿に入り、翌日の朝食の話や、宿代を対応をしてしまいます。特に民宿だと、当日の朝早くにスタッフさんが対応するので、前日に色々済ませておくと喜ばれます(自分も楽です)
■宿についたら行うこと
・宿代を支払う
・朝食の有無を確認する(おにぎりにしてくれる場合もある)
・入浴、食事を済ませる
4. 翌日の準備
レースの朝は非常に早いです。そのため、必携品をザックに詰めるなど、準備は可能な限り前倒ししましょう。ゼッケンも前日にはウェアにつけておきましょう。
■宿で前日にやっておくこと
・ザックに補給食や必携品などを詰めておく
・高低図や、マルチビタミンも忘れずに入れる
・当日朝に貼るテーピングもザックに入れておく
・ゼッケンを付けておく
・翌日にレースで使用するものと、車に置くものを完全に分けておく
私はこれらを前日に済ませ、19時までに食事を終え、21時には布団に入ります。
(補足)レース1週間前に朝方生活に慣れておく
「21時なんて早い時間に眠くならない」という人も多いと思います。そういう方は、レース1週間前から少し早めに寝る習慣をつけましょう。難しい場合は、起きる時間を少し早めるなどして、レース当日のリズムに少しでも合わせられるよう、工夫すると良いでしょう。
また、深部体温が入浴後に下がることを利用して眠るという方法もあります。『スタンフォード式最高の睡眠』などで紹介されていますが、眠る90分前に入浴を済ませ、深部体温が下がった時に現れる眠気を利用して眠るのです。これは個人的にオススメです。
レース当日の過ごし方
1. 起床
レースのスタート3時間前には起床します。朝食は2時間前にとったら、身支度を整えましょう。前日にしっかり準備しておけば、15分くらいで終わります。
朝食は、私はおにぎりとパスタを食べます。レースは長丁場なので、朝食が1日のエネルギーのベースとなります。しっかり食べましょう!
■朝食の取り方
・スタート2時間前には食べ終える
(補足)朝食について
レースによっては、コンビニが少ない農村に宿泊する場合があります。
その場合、前日の夜に食料を買っておきましょう。私は以前、前日のトレイルランナーたちの買い占めで食料が買えず、バナナだけでスタートラインに立った苦い思い出があります。翌日でも大丈夫そうな場合は、その日にコンビニで買って車で食べるなども良いと思います。
2. スタート地点に移動する
朝食をとったら早めに駐車場へ移動しましょう。
私はこのタイミングでハイドレーションに水を入れます。前日や当日の朝早い段階で入れるとスタート直前に漏れていることがあるので、スタート直前に入れるようにしています。
そして上を着た状態でいつでもスタートラインに行ける状態になったら、ここでテーピングをつけます。今はニューハレテープなどハサミがなくても使えるものもあるので、ぜひ活用しましょう。
3. スタートを待つ
私はテーピングを済ませたら、30分ほど車で睡眠をとります。比較的ゆとりを持って行動するようにしています。
■スタート地点でやること
・ハイドレーションに水を入れる
・テーピングをする
・ギリギリまで寝る(アラーム必須)
まとめ
レース選びのポイント、レース前日までの過ごし方などをざっとまとめてみましたが、いかがでしたか?
せっかくレースまで練習を積んできても、前日や当日にバタバタして本気を出せないのは、もったいないですよね。
地元のおいしいものにも巡り会えるので、ぜひ前日に現地入りしてレースを楽しみましょう。
自身の経験を元に、トレイルランニングの競技力向上に関連した情報などを発信しています。
トレイルランだけでなくファストパッキングも好きなので、自身の経験を元にオススメギアの紹介も発信していきたいと思います。
【2019戦績】
・熊野古道マウンテンランレース 準優勝
・スパトレイル3位
個人ブログ
https://notrailnolife.com/
Instagram
https://www.instagram.com/mtrokko/
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