キャンプで見る星空は本当に美しいものです。濃い夜の闇に広がる無数の星々が、我々を異世界へ誘ってくれます。そんな星空を写真に収めてみたい、と思うのは当然の欲求でしょう。せっかくキャンプに来ているのですから、できれば周りの景色も入れて撮りたいものです。ただ残念ながら、普通にカメラでシャッターを切っても、暗すぎて真っ黒い写真が撮れるだけです。
ですが、ポイントを押さえて撮影すると、このように星空を写すことができます。
そんな「星景写真」の撮影方法をご紹介します。
撮影のポイントは「シャッタースピードを遅くする」
星景写真の撮影の最大のポイントは、通常では考えられないほどシャッタースピードを遅くすることです。ではそもそも、カメラはどのように被写体を写しているのでしょう。シャッタースピードに着目して考えてみます。
カメラのシャッターを切る、というのは、人間でいうと瞬きを1回しているようなものです。シャッターという名のまぶたが開き、閉じる。まぶたが開いている間に、被写体からの光を取り込み、写真となります。
この、まぶたが開いている間の時間が長ければ長いほど、光をたくさん取り込むので明るく写ります。オートモードで昼間にカメラのシャッターを切ると、そのほかの設定にもよりますが、1/2000秒~1/4000秒など、とてつもない速さでシャッターが切られます。被写体が明るいので、光は瞬間的に取り込む程度でこと足りるわけです。
では、真っ暗闇のなか、ささやかな光しか放っていない星々を撮るにはどうすればよいのか。もうお判りですね。星が写るほど、極端にシャッタースピードを遅くすれば、たくさん光を取り込め暗い夜空も写るというわけです。
必要なものはたった2つ!
星景写真に必要なものは基本的に2つだけ。一眼レフデジカメと三脚。それだけです。コンパクトデジカメだとシャッタースピードを遅くできない場合が多いですので、一眼レフデジカメが必要となります。また、シャッタースピードを遅くすると手振れの影響をもろに受けてしまいます。それを防ぐため三脚は必須です。
撮影手順
最初からカメラの各種設定を、シチュエーション別に細かく設定する方法もありますが、せっかく何度でもやり直せるデジカメです。とりあえず撮影してしまい、撮影しながら調整することを強くおすすめします。わりと簡単に星空が写りますので、けっこう感激しますよ。
では、以下の手順で撮影してみましょう。
①カメラを三脚にセット
②写したい方向に向ける
③カメラをマニュアルモードにし、シャッタースピードを20秒など、長時間に設定。
④ISOは800以上に
⑤ピントはマニュアルにし、∞(無限大)に回しきった後、ほんの少し戻す。わからなければこの時点では無視してOK。
⑥シャッターボタンを押す
⑦撮れた写真を確認
明るさを調整する
では、さきほどの写真の写り方により、まずは明るさを調整してみましょう。
パターン1 暗すぎる場合
以下の3つの数値を変えると、明るくなります。
①シャッタースピードを遅くする(最大40秒くらいまで)
②F値を下げる
③ISOを上げる
パターン2 明るすぎる場合
パターン1の逆を試してください。
ピントを調整する
明るさが良い感じになったら、次はピントを合わせて撮影しましょう。基本は、∞(無限大)に回しきった後、ほんの少し戻す、です。そこから少しずつずらし、撮影してください。だいたい星が点に写っていれば十分です。
ここまでで、星景写真らしきものはだいたい撮影できているはずです。
小ネタ 「実は動いています」
星景写真では、通常では考えられないほどシャッタースピードを遅くするわけですが、その間に被写体やカメラが動いてしまうと、ブレた写真が撮れてしまいます。シャッターを指で押すことで発生するブレも防ぐため、レリーズ(遠隔でシャッターを押すリモコン)などを使用するのも効果的です。
ですが、それでもどうしても防げないブレというものがあります。それは、「地球の自転」。
前述の撮影方法のなかで、シャッタースピードは40秒程度までと書かせていただきました。なぜかというと、これ以上シャッタースピードを遅くすると(長くまぶたを開き続けると)、その間に地球の自転により星の位置が少しずつ移動し、星の光が点から線になってしまうからです。実際、40秒でも星は点ではなく少し線になりかけますので、できれば20秒以内が良いのでしょう。
地球の自転を実感しながら撮影する星景写真。ぜひお楽しみください。
星空とカメラが好きな、元、天文台職員。ワイルドキャンプに憧れているのに、つい温泉付きキャンプ場を選んでしまう今日このごろ。鹿児島県を中心にキャンプをしていますが、まだまだ行ったことのない、行ってみたいキャンプ場がたくさんあります。少しずつ写真に収めながら、ぼちぼちと楽しもうと思います。
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