意外と知られていない「渓流」の楽しさと怖さ。

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ウォーターフィールドの代名詞ともいえる渓流。山間部のどこにでもあり、夏のアウトドアにおいては、清涼な流れと空気を気軽に楽しむことができる癒しの場として人気ですね。

しかし、いうまでもなく渓流は大自然の一部。楽しいだけでなく、ときとして命に関わる危険もはらんでいます。みんなで安全に楽しむには、なんといっても「知ること」が重要です。ここでは、意外と知られていない「渓流の危険」についてお話します。

渓流はクーラーのいらない真夏の楽園!

広い河川敷をもつ中流や下流とちがい、渓流の水辺はそれほど広くはありません。むしろ山間(やまあい)を流れているため、両岸が切り立った谷になっている箇所が多いのが特徴です。だからこそ、包み込んでくれるような、独特の癒し感が味わえるのでしょう。

手頃なスペースを見つけたら、川面近くまで降りてみましょう。清らかな流れの音とマイナスイオンを含んだ冷水の細かな飛沫に包まれ、暑さやストレスを瞬時に吹き飛ばしてくれます。

ここでなにする!? テーブルやイスを運んでランチタイム? それともフィッシング? バーベキュー? 近年はスリル満点のカヌーやボートによる激流降りも盛んです。また、岸辺の岩場ではフリークライミングやボルダリングの練習風景を見かけることも多くなりました。

真夏でも涼しい渓流フィールドは、アイデア次第で終日楽しめる夢の楽園なのです。
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渓流は突然キバをむく恐怖の楽園!?

そうはいっても大自然、危険が多いのも事実です。でも事前にしっかりと学んでおけば、ほとんどの事故は防げるはずです。渓流をよく理解することこそ、安全に楽しむ第一歩であることを肝に命じておきましょう。

気配がわからない

いうまでもなく渓流では、流れの音が途切れることはありません。したがって落石の予兆や獣が接近する気配も察知することが困難なので、視覚による警戒を怠らない心がけが不可欠です。渓流釣りに集中していたら、知らぬ間にすぐ後ろに人が立っていて驚いた経験が何度もあります。

流れが複雑

流れは常に上流から下流に向かっているとは限りません。特に大きな浮き石(一部が水面から出ている石)の後ろには、見た目ではわかりませんが、カウンターカレント(逆流)が生じています。川底に大きな起伏のある場所では、前後左右だけでなく上へ下への水圧など、想像もつかない複雑な流れを形成します。

そして厄介なことに、これらは日々変化します。増減する水量や流下してきた大石、枯木などで底や岸の形状が変わり、その都度流れも変化するのです。流れに入るときは、細心の注意が必要です。

想像を超える水圧

流れの強さにも注意を払いましょう。経験のない方には信じられないかも知れませんが、川底が転がりやすい石などで埋め尽くされ不安定なこともあり、場所によっては大人でもヒザぐらいの水深で足を取られて流されることがあります

一人での渡渉はできる限り避けるべきですが、やむを得ずに渡るときは次の2点に注意してください。

1. 多少遠回りでも浅瀬を探し、流れに垂直のコース取りは避け、下流に向かって斜めにコースを設定する。
2. 足を取られて流された万一の場合を想定し、10〜30メートルほど下流をよく観察してセーフティポイントを見定めておく。

急な増水

改めて説明するまでもないですね。大きく報道された20年前の玄倉川水難事故もあり、渓流における急増水の危険はかなり広まったようですが、あの痛ましい事故を知らないためか特に若い方々を中心に、認識の甘さを感じることが少なくありません。

彼らは、降り出した雨の強さのみを判断基準にするようですが、玄倉川の事故のときのように、許容量を超えたダムの緊急放水による急激な水位の上昇も合わせて考えておかなければなりません。
(ダムは豪雨などで許容量を超えることが予想される時、ダムの機能を守るために川へ放流する場合があります。これにより、一時的に川の水量が増えます)

雨が降りはじめてからの増水の速度を想像するとき、つい川面の面積を思い浮かべそこで受け止める水量…と考えがちですが、これは大きなまちがいです。実際は直接川に降り注ぐものだけではなく、山の尾根で囲まれた周辺(流域)一帯に落ちる雨が、すべて一気にその川に流れ込むのです。なぜ急に増水するのか、納得いただけるでしょう。

渓流に降りたら、橋脚や岸の側壁をよく観察することを心がけてください。必ず増水時の痕跡(水面の跡)が残っているはずです。おそらく「こんな高さまで…」と驚かれることでしょう。

素晴らしい自然を存分に楽しむためには、最低限必要なマナーがあります。それは自然をリスペクトし自然を「知る」ことにほかなりません。いつまでも心から楽しめる楽園であり続けるためにも…。

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