皆さん、ブッシュクラフトをご存知ですか?「聞いたことあるけど、よく知らない」「興味あるけど、どんな装備がいるの?」そんな疑問を抱いている人も多いでしょう。
そこで今回は、そもそもブッシュクラフトとは何か? どんなスキルや装備が必要? といった基礎知識をご紹介します。
ブッシュクラフトとは
「ブッシュクラフト」とは、山などの自然環境(ブッシュ=茂み)で、最低限の装備で生活していくのに必要な技術(クラフト=工作)のことです。キャンプスタイルのひとつとして確立されているため、そちらを指す言葉としても使われます。普通のキャンプに比べて、自然をより身近に感じられる点が魅力です。
似たような言葉に「サバイバル」がありますが、こちらは止むなく置かれた過酷な環境で生存するための活動です。一方、ブッシュクラフトは、自然の中で日常的な生活を送ります。
発祥地は北欧(諸説あり)
ブッシュクラフト発祥の地は北欧と言われています。
北欧は林業と木工文化が盛んであり、寒冷地域で火起こしや焚き火に関する知恵や技術が多く蓄積されています。
昔は、家(シェルター)の中を暖めるには焚き火が必要でした。また暖かい熱を逃がさないよう、シェルターの造りも工夫しなければいけません。こうした生活の知恵が受け継がれ、広まり、今のブッシュクラフトにつながったとされます。
ただ、ブッシュクラフトのスタイルは地域によって異なり、明確な定義はありません。
ブッシュクラフトとは、生活の知恵・技術です。それは環境によって大きく変わります。暖かい地域と寒い地域で必要な知識や技術は、同じではありません。
そのため「これがブッシュクラフト」という決まったスタイルはありません。
ブッシュクラフトは、サバイバルの一歩手前
ただ、明確な定義はなくても、ブッシュクラフトというキャンプスタイルが確立されているのは確かです。
では、具体的にどんなスタイルなのでしょうか。
①自然環境を活用するキャンプスタイル
ブッシュクラフトにおいて、食べ物や水、寝床など、生活に必要なものは原則、現地調達です。
とはいえ、すべてを自然のもので代用するのは、もはやサバイバルですね。
ブッシュクラフトの場合は、サバイバルの一歩手前と考えておきましょう。素材は現地調達で、それを扱う装備だけは持っていく、そんなイメージです。
・水は川などで準備するけど、浄水器は持っていく
・食材は現地で調達するけど、調理器具は持っていく
・タープのポールは木の枝で代用するけど、枝を取るのにナイフは使う
こんな感じですね。具体的にどんな装備がいるのかは、後ほどお伝えします。
②最低限の装備で過ごす
ただブッシュクラフトでは、装備は最低限に抑えます。自然を味わうのが魅力なので、必要以上に装備が多いと、むしろ魅力が半減してしまいます。
またサイズも小さいものにするのが一般的です。いわば緩めのサバイバルですから、装備はなるべく少なく・小さく、です。
ブッシュクラフト挑戦前に押さえておくべき基本スキル
ブッシュクラフトの基本スキルとされているのが、焚き火です。
火がないと人間は生活できません。暖も取れませんし、料理も作れません。そのためブッシュクラフトに挑戦する前に、普段のキャンプなどで火を起こす技術だけは身につけておきましょう。
このとき、マッチやライターを使うのではなく、メタルマッチで火起こしからできるようになっておきましょう。マッチやライターは火がつけやすいですが、マッチは水に濡れたら使えないですし、ライターも燃料が切れたらおしまいです。
メタルマッチは水に濡れても大丈夫ですし、燃料切れの心配もありません。使ったことない方でも、何度か練習すれば簡単に火がつけられますよ。
ただし、念のためマッチやライター、着火剤なども持っていくのが一般的です。
火の起こし方
火起こしから焚き火までの流れを、順を追ってご紹介します。
①焚き火に使用する十分な量の薪を確保する。
②着火に必要な火口を用意しましょう。
着火しやすいのは、乾燥した植物性の繊維です(ススキの穂や枯草など)
③炊きつけとして、フェザースティックを作ります。
フェザースティックについては、以下の記事を参考にしてください。
▼初心者向け!フェザースティックの作り方・おすすめナイフ&木材を紹介
https://outdoor-hacker.com/camp/camp_technique/fetherstick/
④メタルマッチを使って、火口に着火させましょう。
無事に着火したら、焚きつけに火を移します。
⑤焚きつけに火を移したら、最終的に大きな薪に火を移し、燃焼を安定させましょう。
燃焼が安定したら、ブッシュクラフトの焚き火の成功です。
初めてのブッシュクラフトに欠かせない最低限の装備
ブッシュクラフトは、最低限の装備で、自然環境の中で生活することです。しかし、それはあくまで慣れている人の話。
上級者になると「装備はナイフ1本!」なんて方もいますが、ブッシュクラフト未経験者が真似をすると大変なことになります。段階を踏んで技術を少しずつ身に着け、装備を減らしていきましょう。
そこで、ブッシュクラフト初心者が持っていくべき装備をご紹介します。
①ブッシュクラフト用ナイフ
火起こしを中心に幅広いシーンで役立つのが、ブッシュクラフトナイフ。おすすめはモーラ・ナイフ。発祥の地・北欧で愛用され続けるナイフです。頑丈で使いやすく、切れ味も抜群。値段もお手頃です。
②メタルマッチ(+マッチ、ライター)
こちらも火起こしに必須の装備。念のためライターやマッチも持っておくと安心です。
③クッカー
竹などで代用することもできますが(くれぐれも勝手に切らないでください。使って良いか事前に確認しましょう)、最初は無理せずクッカーを持って行きましょう。
ちなみに上級者になると、クッカーの鍋部分だけを持っていき、ハンドル部分を現地調達する人もいるそうですよ。
④テント
自然にあるものでシェルターを作るのに憧れるかもしれませんが、初心者の人が山にあるものでシェルターを作るのは控えましょう。これはかなり上級者ではないと出来ません。最初はテントを持っていくところからスタートしましょう。
⑤寝袋
寝袋も欠かせません。特に朝晩の気温差が激しい地域では必須ですよ!
あったら便利な装備
ここからは、必須ではないですが、あると助かる装備をご紹介します。
①浄水器
飲める水が湧いている場所があれば必要ありませんが、見つからないことも。そんなときに便利なのが、浄水器。川で汲んだ水を浄水器に通してろ過するだけで、飲料水を作ることができます。
心配な方は、飲み水も持っていくと良いでしょう。荷物は少し多くなってしまいますが、安心です。
②ファットウッド
ファットウッドとは樹脂を多く含んだ木片で、着火剤として使えます。なかなかうまく火をおこせないときに使ってみてください。普通の着火剤でもかまいません。ご自身で採取しても良いですし、アウトドアショップでも購入できますよ。
日本でブッシュクラフトはできるの?
実は日本の土地すべて所有者がいますので、無許可で入ることはできません。そのため、ブッシュクラフトを行いたい場所が決まったら、かならずその土地の所有者に許可を得てください。
どうしても許可をもらえなかったり、場所が見つからない場合は、人の少ないキャンプ場を選ぶと良いですよ。ただし木を切るなど自然に手を加える場合は、許可されているか事前に確認しましょう。
おわりに
いかがでしたか? 大自然の中、最低限の装備で生活するのは難しいですが、だからこそ普段の生活がいかに快適になのか知る機会にもなります。その魅力が少しでも伝わっているとうれしいです。
ちなみに、日本には「日本ブッシュクラフト協会」というブッシュクラフトの専門団体があります。火起こしのワークショップなど開催されているので、参加してみてはいかがでしょう?
ブッシュクラフトを通して、より自然の素晴らしさを味わいましょう!
自然をこよなく愛するアウトドアライター。テント泊が大好きで、テントを張れる場所であればどこでもテント泊します。わいわいキャンプも好きだけど、少人数のしっぽりキャンプも好き。培った経験をもとに、使っているギアや読者様のタメになる情報を発信していきます。
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